2017年6月9日金曜日

【6月7-8日(水-木)】 本当は見た目以上 涙もろい過去がある [車の旅40-41日目]

6月7日(水)

昨夜から、久しぶりの雨が降っていた。夜半には、だいぶ勢いもあったようだ。
きったなくなっていた車が綺麗になるので、ありがたい。恵みの雨である。


朝も、ぽつぽつと。ちょろっとカーラジオをつけてみたら、九州は梅雨入りしたと言っていた。
まあ天気なんかどうでもいいのさ。訪れた先の、その時々の環境を愉しむだけだ。


宮崎県を、またも西の方向へ。なかなか高い峡谷が出てきて、橋梁をいくつか越えていく。


日之影(ひのかげ)町にやって来た。ここもまた、協力隊の同期が活動していた地域である。


青雲橋。それは君が見た光。けぶっているけど。


宮崎といえば、チキン南蛮の発祥地。食べておかねばなるまい。お肉が柔らかくて、タルタルが旨い。


天翔(てんしょう)大橋。コンクリートアーチ橋としては日本一の長さだそうで、水面からの高さも日本一だという。


町内を東西に国道が走っており、


南北には細い道がいくつもあって、田畑や家々が並ぶ。少しぶらりと周ってみたのだが、しかし本当に道が狭い。
写真の坂を下って行ってしまったときには、さすがにカーブを曲がれないと危機感を覚え、バックで戻ってきた。


日之影温泉駅。


かつて存在した高千穂線は、2005年の台風被害を発端に、廃線となってしまった。
という情報を目にすると、そういえば僕が高校生のとき、そんなニュースがあった気がするなと思う。
現地に来てみて、ここのことかと、ようやく実感が湧く。


車両は、簡易宿泊施設として活用されている。鉄道好きや子どもにウケそうだ。


駅舎は売店に、待合室は資料コーナーになっている。

そしてここで、協力隊の同期と再会。活動地に戻ってきた彼は、いま藁細工の職人として仕事をしているのだ。素晴らしい。
事前研修のとき同じ班で、役立たずの班長すなわち僕の代わりに、超優秀なブレーンとして活躍してくれたのが懐かしい。

一緒に温泉に入る。僕のぶんの入浴料も出してくれた。何とありがたい。
肌にまで和柄のものが入っていないことには、安心してくれたようである。


いったん自宅へお邪魔する。立派な藁細工だ。
ここ日之影では、お正月だけでなく一年を通して、各戸で注連縄を飾るのだという。独特の、おもしろい文化である。


少し歩く。ご近所のお母さんとお喋りして、素敵なガーデニングを見せていただいたりしながら。
それにしても、なんとすごい場所に建物があるのか。半分くらい、崖にせり出しているところもあるぞ。


居酒屋さんに連れて来てもらい、「のみかた」。
飲み会とか宴会のことを指す方言だ。響きが、どこか心地よくて好きだな。


ごちそうが並んでいた。ここでは、同期が呼んでくれた二人の方とお逢いする。
協力隊OBで日之影に定住された方と、今年度の協力隊の方。
ちなみに日之影町は、緑のふるさと協力隊が始まって以来24年間、隊員の受け入れを毎年続けている唯一の場所だ。

日之影のことや三者三様の話を聞かせてもらったり、僕の旅の話に興味を持ってくれたり、
人の良い大将も会話に入ったり、わいわいとした楽しい会になる。
相変わらず手前の話の下手糞さには、自分で呆れ返ってしまうのだが。


お酒を選ぶなら隣のスナックにあるから、ということで徒歩5秒。違うお店だけど、同じお店なわけである。
居合わせたお客さんお二人とママさんと、しばらくお喋りしてしまった。


ひと昔まえの台風被害の映像を、大将が見せてくれる。
いまは穏やかに流れている川が、信じられない濁流と化していた。


九州は、やはり焼酎。日之影でつくられているものもあるので、いただいてみる。飲みやすくて、旨い。
こちらの人たちは、のみかたとなると、昼前から夜中くらいまで飲んでいることもままあるそうだ。
どういう身体をしているのか、不思議でならない。

そして、同期の家に泊めていただく。久しぶりの屋内と、布団。
先ほどの食事もご馳走になってしまったし、お世話になってばかりだ。ありがたいな。


[大体の走行ルート] ※大雑把に示しているため、実際の運転とは必ずしも一致しない
【走行距離:99km/Total:9,553km】




6月8日(木)

朝。お味噌汁をつくってくれ、手づくりだという烏龍茶も淹れてくれた。どちらもおいしく、ほっとする。


早い時間から仕事に出かける同期。一緒に家を出て、握手をしてお別れとなる。
忙しいところを押しかけてしまい申し訳なかったが、おかげさまで楽しい訪問となった。
今度は僕が大野市を案内できれば、嬉しく思う。


日之影町と隣接しているのが、高千穂(たかちほ)町。
そして高千穂といえば、高千穂峡。せっかくなので、チラ見していこう。


駐車場から、遊歩道を1kmほど歩いて行く。
阿蘇山の溶岩流により生み出された、柱状節理の渓谷。さっそく片鱗が見えてきた。


見事だ。岩の灰色・植物の緑色・水の青色・そして滝が、神秘的な空間を形づくっている。
貸しボートを漕いで遊覧もできるようで、十組くらいの人たちが楽しんでいた。独りじゃ乗らんぜ。


良い自然美を見せてもらった。


三本の橋を、同時に臨めるポイントも。


宮崎県は東西にジグザグ走行してきたが、山道の凄さを思い知らされた。
遂に脱出し、熊本県に戻って来る。



阿蘇山を拝んでおこうと。山岳信仰しているわけではないけど。


しかし、山頂方面へ上って行く道は通行止めになっている。昨年の熊本地震の影響のようだ。


遠目に見ながら、周って行く。その勇壮さは感じられるな。


そして九州最後となる県、大分に突入。


竹田(たけた)市というところの市街地に入ってみると、なかなか狭い道だった。


大野だけど越前ではなく豊後大野市まで走り、大分だけど三重という場所でストップ。色々ややこしい。



[大体の走行ルート] ※大雑把に示しているため、実際の運転とは必ずしも一致しない
【走行距離:184km/Total:9,737km】



2017年6月7日水曜日

【6月5-6日(月-火)】 曲がりくねった道の先に [車の旅38-39日目]

6月5日(月)

ゆうべ車中泊したパーキングスペースは、海の目の前。


さざ波をBGMに、すぐ眠りに落ちた。疲れてたからな。


鹿児島県を北上し、宮崎県に突入した。海沿いは相変わらず、青と緑が美しいね。


野生のニホンザル100頭ほどが生息するという無人島、幸島(こうじま)。
国の天然記念物として保護され、観察・研究されているそうだ。
見学に行けるらしいが、和泉地区でも旅の途中でも散々おサルさんは見てるから、間に合っている。


南国感が漂う。というか実際、暑い。
最近は日中の最高気温が28度ほどらしいので、感じゃなくて、もはや南国である。さすが九州。


宮崎市の方か都城(みやこのじょう)市の方か、分岐点。
このあとのルートに影響し、訪れる市町・訪れない市町がここで自然と決まって来る。
ま、都城市の方だろう。理由は、何となくだ。


道の駅、かと思ったら、道の泉だった。


いや飲めへんのかーい。そもそも湧いてないし。おもしろいじゃん、それ。


今度は本当に道の駅。食堂に入り、棚田そばというのをセットでいただく。
道の駅のレストランといって侮るなかれ、どこもちゃんと美味しいのである。
大体は地元のお母さんたちが働いているから、それすなわち一流料理人のお店と同義だ。


その棚田というのが、国の重要文化的景観に選定されているらしい。
ナントカ遺産とか重要ナントカ自体にはあまり興味が無いけど、せっかくだから観てみようぜ。


おー、これは見事。昭和に入ってすぐ着工し、昭和8年には完成したというから、昔の人たち凄い。
整然と並ぶ様が美しいね。何かの遺跡のようである。いや、もはや遺跡と呼んでも過言ではないだろう。


国道を走っていくと、一瞬だけ鹿児島県に戻る。あらそお。


都城市から、小林市と北上。
写真は撮らなかったが、いずれも結構な街で、帰宅ラッシュの交通渋滞に飛び込んでしまった。そりゃ、市だからね。


もう一つ北の行政区に行こうかと、


山道に入り込む。


うねうねうねうね。おや、デジャヴを感じる。


そんなところにも、神社はある。


でも集落は無かった。


夕焼けに煌めく山々というのは、美しい。例えそれが人工林であろうとも。
まあ、残業や夜間営業で灯された夜景を観て綺麗だと思うのと同じだ。一種の錯誤かね。


ひたすら続く山道。昨日と同じ状況になっている。デジャヴが確信に変わってしまった。


謎の廃墟。スルーしよう。


太陽にも見放され、暗くなってきた。
こんなところ、もし人が歩いてたらどうしよう。とりあえず乗せるか。


終わんねー。なんちゅう国道だ。
常人なら、そろそろ発狂してもおかしくない。僕は、とうに頭のネジが数本ぶっ飛んでいるので問題ない。


途中、何頭もの野生生物と遭遇。そんな呑気にこっち見てると、一発で仕留められるぞ。
でも公道から撃ったら銃刀法や狩猟法に引っかかるし、いま狩猟期間じゃないし、そもそもなんか持ってきてないし。
そのへん心得てたのかもしれない。


何となく、動画。安全のため、カメラを置いた状態で撮影している。
某著作権団体さんから苦情が来なければ良いが。


またも一時間半ほどだろうか、エンドレスS字カーブトレーニングを修了し、ようやく大きな道に出る。
安堵から思わずHoo!と奇声をあげ、柏手を打つのであった。たぶん山の神に対して。


西米良(にしめら)という村。温泉へ行くとおんちゃんが二人ほどいたが、内湯とサウナを愉しんでいたので、
露天は一人占めできてしまった。ぬるぬるのお湯が気持ち良い。運転の疲れも吹き飛ぶというものだ。

寝られる場所をしばらく探し回ったが、これといったところが見つからない。
路端の、退避所みたいなところで妥協する。充分さ。


[大体の走行ルート] ※大雑把に示しているため、実際の運転とは必ずしも一致しない
【走行距離:321km/Total:9,275km】



6月6日(火) 

昨夜の温泉で、鹿ジャーキー柚子こしょう味を購入していた。
この村では、有害駆除したシカやイノシシを、ジビエ製品として活用しているようだ。

他にもカレーやら炊き込みご飯の素やら、色々と並んでいた。
そこまでの規模で無いにしても、和泉地区でもこの分野で経済を生み出していくことが可能なはずだ。


車中泊したのは、このあたり。
それなりの土砂崩れが発生してたら永眠してたろうけど、万が一このピンポイントで巻き込まれたとしたら、
それは割と天文学的な確率。そのときはもう、そういう運命なんだと思うだけである。
まあしばらく雨も降っていないし、気にすることでも無かったろう。


村から村へ、朝から山道を北へ走る。
この三日間、こんなところばかりだ。さすがにちょっと嫌気が。


でも高みからの眺めは良いんだな。


なかなかすごいところにあるぞ、と和泉の方から聞いていた、椎葉(しいば)村。
なかなかすごいところにあった。隣の村から、うねうね道を一時間はかかったから。


かなり広大な森林帯の中に、幾つもの集落が点在。まとめて、一つの村を構成している。


次の村へ行くべく、東へ向かう。このあたりは村が多いのだな。
というか、村としてでないと行政的にやりづらいのかな。知らんけど。


工事のため、時間帯通行規制がかかっていた。まだ一時間くらいは通れないらしい。
警備員のおんちゃんによると、山道を迂回することもできるが、そちらも一時間はかかるとのこと。じゃ待とう。
細い道は、できる限り走りたくないし。しばらくは。


マイパソコンは結構なおじいちゃんなので、電源に繋がないと一瞬でバッテリが昇天してしまう。
でもこのアイテムがあれば、車でも作業が可能。ブログの下書きを少ししながら、道路工事の安全第一を祈る。


諸塚(もろつか)村。こちらもまた、協力隊の同期が活動していた地域である。


おお逢えた、くぬぎ地蔵。村の木でもあるクヌギの、お地蔵さんだ。


同期全員に配ってくれたマスコットは、車にぶら下げさせてもらっている。
「苦抜木」でもあるということで、縁起が良い。


やだー、ウサちゃんが工事してるー、超かわいいんですけどー


クヌギを原木とする椎茸と、豊かな木材資源。それらは、村の特産品となっているようだ。


特産品販売施設があったので、神楽だんごというのを購入。
そしてスタッフのお姐さんお二人と、しばらく話し込んでしまった。
ふだん一人で運転しているということもあり、お喋り相手ができると嬉しい。
気さくで、素敵な人たちであった。田舎の温かみだ。これも御縁、お逢いできて良かった。


東へ向かい、海の方へ出て、北上。延岡(のべおか)市内の銭湯に来てみた。
近場に日帰り温泉が無さそうだったり、あっても混雑してたりすると、銭湯に舳先を変えるパターンになってきているな。
着いたのが19時20分ころ。営業は20時までとある。やば。お風呂屋さんなら相場は21時までだろうと高を括っていたのだが。
番頭のお母さんに聞いてみたら、全然オッケーだったけど。

お客さんは、誰もいないようだった。女湯の方からも、物音がしない。
脱衣所と浴場の上の方には、かなり古い広告が並んでいる。長崎で訪れたところよりも、昭和感が強い。
どれくらい昭和かというと、広告の住所表記にある「町」の字の『丁』部分が、「巧」のつくりになっているくらい昭和だ。

お風呂の中央には、直径2mほどで円形の、タイル貼りの湯船。
洗い場は7ヶ所ほどで、シャワーは無く、熱湯と冷水の出るプッシュ式の蛇口のみ。
適温に調整しながら、洗面器に溜めてつかうと。もう慣れたもんだ。
銭湯も楽しいな。


三日ぶりくらいに、道の駅の駐車場で運転を終えることとする。


びっくりしたー。西郷どん、驚かせてくれるなよ。


[大体の走行ルート] ※大雑把に示しているため、実際の運転とは必ずしも一致しない
【走行距離:179km/Total:9,454km】