2017年5月27日土曜日

【5月25日(木)】 You'd think me rude but I would just stand and Stare [車の旅27日目]

ガードレールが黄色いのは、山口県仕様なんだろうか。


国道を避け、海沿いだが山の中の県道を走っていく。斜光が良い感じ。


結構な細い道だが、10分15分くらい行くと、2,3世帯しかないだろう集落があった。
おばあちゃんが田んぼで作業している。こんなところにも、人の暮らしはあるのだね。


日本海側をしばらく走り、


萩市に立ち寄ってみる。


産業革命遺産ということで、さいきん世界遺産に仲間入りしたものがいくつかあるのだ。
その中から、まずは反射炉を観てみる。


某テレビ番組の島を開発する企画でつくっているようだが、どんなものかは正直、よく知らなかった。
要するに、炎と熱をドーム内の天井に反射させ、原料鉄を融かす構造のようだ。

鎖国時代、欧米列強に対抗すべく洋式大砲を導入しようと、各地で反射炉づくりが行われたという。


現存しているのは、煙突の部分。萩の反射炉は試作的に造られたとみられているらしいが、
遺構として残っているのは国内で2基だけだそうだから、いずれ貴重なものである。


萩の城下町。この一帯も、世界遺産に含まれている。


随所に植えられている夏みかんは、市の果樹。
明治期に、困窮した経済を立て直すべく栽培が始められたとのこと。


いました、毛利さん。


萩城跡。


外堀の外側は、旧町人地。道も狭く、見た目もしっかり城下町だ。木戸孝允の旧宅などがある。
気温が高めなので、汗をかきながら、ぶらぶら散策した。


走行を再開し、また山道を行く。
すごいところにバス停があるな。時刻表を見ると、日に3本ほど通っているようだ。


マウスオブマウンテン、あと観ておきたいのは何処だろうか。


秋吉台、という名前は聞いたことがあったが、正直どんなものか知らなかった。
じゃあ行ってみるかと、美祢(みね)市へ。

突入したあたりから、既に良い景色だった。駐車場に車を停めて10分ほど軽くトレッキングすると、


めっちゃ壮観。すげー、これは来て良かった。


ここは、石灰岩が雨水などに溶食されることでできた、カルスト台地。
日系ブラジル人歌手みたいな名前である。君は1000%、みたいな。


けっこう暑いなか、汗を拭きふき登ってきた甲斐があった。
写真や動画だと今ひとつなので、ぜひ肉眼でご覧いただきたい。


その地下部分にあるのが、秋芳洞(あきよしどうorしゅうほうどう)。鍾乳洞である。
せっかくなので、こちらも入ってみよう。


正面入口側と出口側、どちらからも入れるというので、出口の方から行ってみる捻くれ者。
いずれにしても、片道1kmちょっとを行って帰って来ないといけないのだ。
復路で零から拾になる方が、しっくり来るかなと思ったわけである。

入っていきなり、これでおしまい感の漂う空間を通る。


往路は、写真を撮りたい気持ちを抑えつつ、じっくり観賞しながら。
そしてカメラを解禁して、ここは表側。お店が並ぶ。


かつての干ばつの際、洞内で雨乞いが行われたらしい。カッパも一緒に。


橋を渡ると、


広大で壮大な地下空間。
観光できるのは1km程度だが、総延長は8.5kmほどもあるらしい。


各所に、自然の生み出した芸術作品がある。


 
 
そして人間が、おもしろい名前を付けるのだ。


んー、ちょっと苦しい気もするけど。


それぞれの場所にボタンが設置されており、押すと音声ガイドを聞くことができる。四ヶ国語で、これは便利。


こんな感じ。よく見えていないが。


高さ15mの、ゴールデンな柱。
天井から地下水が壁を伝い、その石灰分が何万年もかけて付着し、築かれたのだという。すげえ。


岩窟王。名前がカッコいい。
天井からの水が滴り落ち、地面から少しずつ固まってできたのだ。
石のタケノコと書いて、石筍(せきじゅん)という。


これも、良いものを観させてもらった。


反対側から入ったのは、こっち側の方が空いているという情報もあったため。
実際、校外学習らしい小学生や、ツアーの団体さんは表側からたくさん入っていた。


半世紀ほど前の、同じ場所。すごい人だな。


蛍街道、という名の冠された道の駅へ。


中庭には、やぐら。ここでお祭りもするようだ。良いね。
奥に温泉があったので入湯。ぬめぬめの強い、泉質の良さそうなお湯だった。


田んぼの風景を眺めながら、アイスキャンデー。
ちょっと時間は早いが、今日はだいぶ歩いたし、この場所で休むとしよう。


という判断は正解だったようだ。暗くなると、数匹のホタルが明滅を始めた。ゲンジボタルかね。
動画では、右上の方で僅かに光っているだけ。だが向こうの田んぼの方も含めると、20匹くらいは確認できた。

二時間くらいだろうか、飽きもせずに、ずーっと眺めていた。
頭がイカレていると思われるだろう。否定はしない。


[大体の走行ルート] ※大雑把に示しているため、実際の運転とは必ずしも一致しない
【走行距離:134km/Total:6,560km】



2017年5月26日金曜日

【5月24日(水)】 沈黙は金、雄弁は [車の旅26日目]

出雲大社に続き、もうひとつ島根のメジャーどころへ。

石見銀山は、戦国時代から400年ものあいだ採掘されていたという、世界有数の貴重な鉱山遺跡。
今年で世界遺産登録10周年になるそうだ。


ここ大田(おおだ)市のキャラクター、らとちゃん。かわいい。
かつて坑道で使われていた、サザエの殻に油を入れて火を灯した明かり。
螺灯(らとう)と呼ばれるそれと、鉱夫の衣装がモチーフになっているらしい。目の付けどころが良いな。


公開されている坑道まで、駐車場から歩いて2km以上。
ふつうに田舎だが、重要伝統的建造物群保存地区というのに指定されている。
安易に改修とかできないやつか。


住民憲章が掲げられていたけど、お店をしている人は良いとしても、一般住民の方々にしてみたらどうなのだろう。
連日わらわらと観光客が来て騒いで汚して、正直ありがた迷惑、というか超迷惑なんじゃないだろうか。
そのあたりは、分からない。聞くチャンスがあれば良かったのだが。


坑道のことを、間歩(まぶ)というそうだ。
大小600余りが点在するようで、あちこちに見られる。入れないけど。


入洞できるのがこちら、龍源寺(りゅうげんじ)間歩。

受付のおんちゃん二人と、東京から福井に移住した旨などをしばしお喋りすることになる。
あと、僕の出身地である八王子市と石見銀山が関係していることなど。それは後述。


中へ入ると、ひんやりしている。というか、けっこう寒い。


摂氏12度くらいだ。そして、かなり仄暗い。


本来の長さは600mほどらしいが、いま見られるのは、その約4分の1。
鉱脈を追って掘り進んだ横道のようなものや、


ノミの跡などがそのまま残されている。

十日で十尺を掘ったというから、一日あたり30cmくらいだ。
これほどの穴を人力で。気が遠くなるような労働である。昔の人は、えらい。


朝一だったのでお客さんも少なく、誰もいないときにはこの静寂。
自分だけ異世界に取り残されたかのような錯覚に陥る。先に進もう。


この先の非公開部分は、落盤のために塞がれているようだ。


出口は、観光用に設けられた新坑道。


各種の説明パネルが、10枚ほど設置されていた。
溜まった水を排出するのに、竹などを活用したポンプも使われていたのだな。ハイテク。


明治期以降に建設された精錬所、の跡。不採算となり、すぐに閉山してしまったようだ。


大久保長安(ながやすorちょうあん)という人の、逆修墓(ぎゃくしゅぼ)。すなわち生前墓があった。

外様ながら、徳川家康の近臣として仕えた人。
八王子城城主・北条氏照(うじてる)亡き後に旧領を与えられ、八王子千人同心を創設するなど、
エイトプリンスシティに随分と貢献をしたといえる。のちに、ここ石見銀山を任されたのだ。

しかし相当に派手好きだったらしく、不正蓄財もしていたらしい。
当人は病死しているが、その後には息子7人が全員、切腹を命じられているとのこと。何ともな人物である。


螺灯とか間歩とか逆修墓とか大久保長安とか知ったように綴っているが、
石見銀山を訪れたことで、初めてあるいは改めて、勉強になったわけである。
おもしろかったし、知識が増えた。

なかなか怖いカカシをスルーし、西へ。
お昼ごはんを食べようと思うも、水曜定休のところが多い。
でもコンビニとか牛丼屋で妥協するのもなあ、とか言ってるうちに、どんどんタイミングを逃していく。


益田市に着いたところで、ようやく大衆食堂を発見。


日替わりランチは、かなり品数が豊富で、かなりボリュームがあった。
お腹ペコペコだったので、なおさら旨い。満腹になりましたと、女将さんにお礼を告げる。

朝昼いっしょのブランチならぬ、昼夜いっしょのディランチを終えたら、


今日はランドリーデイ。洗濯と乾燥をまとめて担当してくれる機械で。便利。
左のマシンでスニーカーも洗うが、ブラシが上手いこと回転していなかった。まあいいわ。


走り出して、ああこれかと思い、急ぎ撮った風景。
ゆうべ温泉で逢ったおんちゃんが教えてくれた、高津(たかつ)川。かつて日本一の川に選ばれたのだという。


日没後だとブレブレになるが、ここからネクストステージ。
小学一年生が最初に漢字で書けるようになる県、山口である。


すぐのところに、田万川(たまがわ)温泉なるところが。
東京の多摩川のドッペルゲンガーかな。


館内には、懐かしのレコードジャケットがずらり。


懐かしの音楽が販売されていたり、


懐かしの品々も展示されていた。おもしろい。


温泉の方は泉質が濃いらしく、ぬめりがあり赤みがあった。
温度は高くなかったものの、湯あがり後もしばらく汗が引かなかったので、やはり良い温泉なのかなと思う。
温泉ソムリエでも温泉マイスターでもないから、知らんけど。

すぐ近くの道の駅で、今夜はおやすみ。


[大体の走行ルート] ※大雑把に示しているため、実際の運転とは必ずしも一致しない
【走行距離:152km/Total:6,426km】