駄目な自分を愛せはしない 強く生まれ変われ

「どうしようもない人間だった。

暗い、おとなしい、存在感がない。そう言われてきた。
勉強はできない、運動はできない、性格は荒んでいる。
程度は重くないが、イジメじみたことの対象になったこともあった。当然だ。

何となく進学した大学は、すぐに行かなくなった。部屋に籠るようになり、退学した。
紹介してもらった仕事は、何を身に付けるでもなく、だらだらと続けた。結局、あいさつもせずに辞めた。

人生をやめようと、何度も思った。でも踏ん切りがつかず、何となく生きてきた。

何か変化を得られるかもしれないと、海外生活をしてみることにした。

英語の勉強も初めは頑張ったが、そのうち面倒くさくなった。
見つけた仕事も初めは頑張ったが、そのうち嫌になった。

英会話講師をすることにした。
会社も、言うことを聞かない子どもも、英語自体も、好きになれなかった。

好きじゃないものは、切り捨ててきた。
好きじゃないひとは、関係をぶった切ってきた。

誰かと仲良くなっても、ある一線から先に行くことがなかった。
心を開ける人は、いなかった。
親友と呼べる人は、できなかった。
いつの間にか、自分を良く見せることだけに特化した、上辺だけの人間になっていた。

最後のチャンスだと思い、田舎暮らしをしてみることにした。
仲間と呼べる、素敵な人たちに出逢った。
あるべき自分でいられる、素敵な生活があった。
自分の居場所を、見つけたと思った。

自分は成長したんだ。変化したんだ。

いや、違った。
ふとしたところで気付かされた。
負の塊である自分は、変わってなんかいなかった。
結局、変わらないのか。
尊敬されるような人間には、なれない。

自分は、どうしようもない人間だった。」

















































で、
行くの？行かないの？

「……………………行く」