【4月20日（木）】 わたしは何を残しただろう [車の旅10日目]

きのう滞在した旅館。
日本一深い岩風呂、というのがあるとのことで、夜中に入りに行ってみた。
肩口あたりまで浸かってしまう立ち湯は、おもしろい感覚だ。

久しぶりに布団で眠り、くつろぐことができた。

再び太平洋側へと向かい、途中の直売所でこれらを購入。そしてこの いそべ巻きが、めちゃウマであった。
もちもち感がハンパ無く、醤油の味付けは絶妙で、ごく一部に米の形・食感が残っている。
僕の中の いそべ巻きランキングで、堂々の一位に輝いた。これは、いつかまた食べたい。

昼ごろに眠気が襲ってくると、道の駅で仮眠。
ショバ代という意味でも食糧のストックという意味でも、そこならではの食べものを少し購入。

旅を再開してからは、今日で6日目。

ここまで着てきた衣類を、コインランドリーで一挙に洗濯する。
小物類は手洗いすれば良いのだが、大物はそうもいかない。
自転車旅行のときはシャツもズボンも全てハンドウォッシュしていたけど、なかなかに面倒なのだ。

手作業だと、乾かすのも一苦労だし。乾燥機で一気に片付ける。

周囲にWi-Fiも無いので、ブログ更新はできない。読書して待つ。
時代もので、難しい言葉が並び、ページ数もある小説。
自分は字を読むのが恐ろしく遅いということもあり、けっこう長い期間をこの一冊で愉しめる。

岩手県は宮古市。田老町の道の駅は、一部が再建され、営業を再開している。

ここの玉子焼きが、また旨かった。
ちょうど良いふわふわの食感と、程よい砂糖の甘さが最高であった。これも、また食べたい。

復興道路が9割がた完成しているけど、できたらみんな素通りしてしまうんじゃないかなあ、
と売り子のおんちゃんが心配していた。これだろうか。
そうなってしまうと本末転倒なのだが、どうなるのか。

海沿いの道には、至るところにこの標識。津波の危険が迫った際には、これを目印に避難だ。

おんちゃんの言う通り、三陸道路という新しい道に、ところどころで乗らされそうになる。

旅のルールというのは厳格には設けていないものの、基本的には下道を走る、というようにしている。

高速道路では、おもしろみが無いので。サービスエリア巡りは楽しそうだけど。
一般道の自然の風景を眺めながら、他の車もいない中をのんびり走るのが良い。
細い峠道を、こえー、とか言いながら上り下りするのも。

確かに、自動車専用道路はけっこう出来ているようだ。

便利になり、復興に多少なりとも加速が付くのは間違いない。

海辺には、新しい防潮堤が幾つもつくられている。

全てが流されてしまったのだろう空き地を、そのまま広い公園として活用しているところも。

道を間違えて小さな港町に入り込んでしまったが、大きな門を見つけた。
津波が襲ってきた際には、ここを完全にシャットアウトし、安全区域とするのだろう。

しっかりとした堤防になっている。


7日目・8日目・そして今日と、東日本大震災の被災地を走ってきた。
こんなにも広い範囲で被害があったのかと。二万人あまりもの人の命が奪われ、
関係する何十万あるいは何百万という人たちが悲しみの底に沈められたのかと。
実際に自分の目で見ると、思っていたものとの次元の違いに衝撃を受け、己を恥じた。

あらゆる現場を見るたびに、人々の想いを想像するたびに、幾度となく目頭が熱くなる。
しかし、いくら手前が涙したところで何の役にも立たない。
「復興」が完了するのは、何年・何十年の先か。それまで、ほんの微力でも自分にできることをしていかなければ。

岩手県も抜け青森県へと入り、道の駅で車中泊とする。
さて寝るかと思ったところで、車内をライトで照らしてくる輩が。うわーやべえ奴か。
と思ったら、お巡りさんだった。県外ナンバーなので、手配されてるヤツじゃないかと、警戒されたようである。

久しぶりの職務質問。若いほうの警察官は、僕の運転免許証を持ち、何やらパトカー内に照合しに行った。
待つあいだ、ベテランさんの方とお喋り。車で日本を走り回ってるんですよーと言うと、
「うわあ羨ましいなあ」と好評。この先にある場所やモニュメントなどの情報をいただいた。

照合にやたら長い時間をかけられていたが、残念ながら、こちとら無事故・無違反・前科無しである。
見た目などから、ぜったい何かあるだろと思われたのだろうか。だが無事に解放された。

この先も、何度かお巡りさんに声をかけられることがありそうだ。
職務質問は、犯罪抑止や検挙のためにも大切な仕事。僕みたいな怪しい野郎には、どんどん声をかけていただきたい。

[大体の走行ルート]　※大雑把に示しているため、実際の運転とは必ずしも一致しない
【走行距離：284km／Total：2,726km】