2018年11月9日金曜日

【10月15日(月)-11月4日(日)】 Step out to be myself again 今 優しい風を受けて [猟師164-184日目]

山小屋に、なんかいた。


最近できるようになった、忍び猟という猟法。
できるだけ足音や気配を消し、出くわしたシカを仕留めるのである。
とはいえ、基本的には奴らの方が先に、人間の存在に気付いてしまうのだが。
そこからどうするかが、人間の知恵ってやつだ。

僕なんか、かつては家族にすら「存在感が無い」と笑われていたくらいだから、
きっと前世は忍者のはず。忍び猟は得意分野のはずだぜ。
自分の裁量でできるし、シカとの駆け引き・攻防がある感じで、おもしろい。


まだ数頭ではあるが、捕獲もできている。
証拠となる写真を撮影したり、内臓を摘出したり、埋設したりする。
血肉が肌や服に付着し、臭いはしばらく鼻に残るが、いずれ慣れるものなのだろうか。


ところで狩猟に際して、
「シカを見つけ次第、とにかく撃てば良い」というわけでは無い。
間違いなくシカであるかの確認や、周囲に人がいないかの確認等はもちろん、
バックストップの確保というのも必要になる。

これはつまり、シカの背後が斜面なり地面なり、
弾を受け止めてくれる状態でなければならないということ。
獲物を貫通した弾が、その向こうにいた登山者に命中。などという事態を防ぐためである。
銃弾は、散弾銃なら数百m、ライフル銃なら数kmも飛んでいくのだ。


自然のなか、どこにシカが現れるかは分からない。せっかく出会っても、
バックストップの確保ができず捕獲を見送るということも、けっこうある。
狩猟界では、事故により人を殺めてしまう事例が後を絶たない。とにかく安全第一。

写真は、右が発射前の弾丸。左が発射後の弾頭。
こんなん己の肉体にぶち込まれたらと考えると、痛いじゃ済まんわな。
まあそもそも、人の命を奪うべく開発されてきた武器である。恐ろしいもん持ってるな。


ところで射撃に際して、
「シカを見つけ次第、とにかく撃てば良い」というわけでは無い。
間違いなくシカであるかの確認や、周囲に人がいないかの確認等はもちろん、
銃の肩付け・頬付け・身体への密着というのも必要になる。

想像に難くないと思うが、銃の反動は大きい。焦って撃ち急ぐなど下手をすると、
跳ね返ったスコープにデコをパックリ割られてしまう。
勲章などでは無い。未熟ゆえ額に残る、ただただ恥ずかしい怪我である。


さて、日々の食事はレトルトがメインだ。体に良くなさそうだが、仕方ない。
パックのご飯に、パウチの中華丼・親子丼・カレーなどをかけて。


それだけでは足りないので、
カップ麺・おにぎり・パン・バランス栄養食・ナッツ・ソーセージ・バナナ等、
買い置きしておけるものでお腹を満たす。

エネルギー消費も大きいし、最近は量を食べるようにしている。
もともと痩せ型(ただし筋肉質)なのに、仕事で山歩きをしていたら、
スーパーバンタム級まで体重が落ちてしまったのだ。増量しなくてはならない。
目指せライト級。四階級制覇だぜ。

ちなみに「山で料理すれば良いじゃん」などと言われることもあるが、
プライベートなアウトドアならともかく、実際はそんな余裕ない。


腸の調子が悪かったので、しばらくお薬を飲んでいた。すると最後に1錠、余った。

よく見たら成人は一回3錠なのに、内容量は3の倍数じゃない。謎である。
子どもは一回2錠だから、なぜ2と3の公倍数にしないのだろうか。120で良いじゃん。
と疑問に思ったという、どうでもいい話である。


10月中の一日の流れは、
5時前に起きて現場へ行き、日の出から小一時間の猟。
そのあと日中は山歩きをしながら、数時間の猟。
日の入り時にも小一時間の猟。
宿に戻ってからは軽くミーティングや、日報・地図の作成など事務作業。

といった感じ。なかなか拘束・稼働時間は長い。
ヘタすると、毎日2万歩前後は歩くし。そりゃ痩せるぜ。

そして一週間、朝から晩までずっと、会社の同じ人と行動を共にする。
身体よりも、案外そのへんが一番しんどいかもね。と思う今日この頃。


山は、もはや冬。霜柱は当たり前にできてるし、こんな製氷されてしまうほどに寒い。
夏は暑がりで汗かきなのだが、冷える方がツラい。
これからの季節に、今から戦々恐々としている。


平日は出張で、週末に帰宅。
溜まった洗濯物を片付けたり、買い物したり、細々した用事を済ませたり。
何やかんやしていると、ゆっくりのんびりする時間もなかなか無い。

とはいえ、ひと段落したところで、ふらっと映画なんか観に行ったりしてみる。
ホラーやサスペンス系は好物である。
相手に気付かれぬよう、音を立てず移動する。これは忍び猟に通ずるね。

ちなみに2020年には、こんな世界になっているようだ。
僕は最後の方まで生き延びられるな。


実家の庭を借り、友人を呼び、軽くバーベキューしてみたりもする。
未だワーキングプアのような身だ。
たまには、ちょっとリア充な雰囲気を味わってみても良いだろ。


ビール工場へ、見学に来てみたりもする。


無料ということもあってか、けっこう人気らしい。
一・二ヶ月前から予約を取ってくれていた。


お姉さんの説明や立ち居振る舞いは、さすがプロフェッショナル。


一番搾りと二番搾り、それぞれの麦汁を飲み比べ。
どちらも麦の甘みが搾り出されているが、やはり前者の方が強い。


アトラクション的な要素も楽しみながら、ビールのつくられる過程を勉強させてもらう。


工場が稼働していない時間帯だったのは残念。


しかしお待ちかね、最後は試飲タイムだ。三杯まで飲めるというから凄い。
綺麗に注いでもらったビールをいただき、


敷地内のレストランで、食事&様々なビールを楽しみながら語らう。
たまには、ちょっとリア充な雰囲気を以下略。


11月最初の土日。車を走らせる。ひとり車内カラオケをし、
ひとり人名しりとりはファッションブランドの創始者により終止符を打たれ、
再びの僕フェスがアンコールに差し掛かったころ、福井県大野市に到着。
紅葉は、九割がた見頃という感じ。


僅か三週間ぶり、またも和泉へ帰省してきた。
紅葉が目的なのか、観光で訪れている人がたくさん。


地区の方たちと合流して車に乗り合い、大野市の街なかへ向かう。
燃える山々を愉しみながら。車も渋滞していた。
ただ温暖化の影響なのか、年々、色付くのが少しずつ遅くなっているようではある。


この時期は毎年、大野市文化祭という催しがある。
市民による美術品等の展示があり、ステージイベントも行われており、


穴馬(あなま)民踊保存会は例年、踊りを披露している。


というわけで会員として、穴馬おどりをしに来たわけだ。
沖縄県での交流のため昨年に新調した、こちらの浴衣に身を包む。

いつもは「質調衣(しっちょい)ちょい」か「やんしき」という曲目を披露するが、
今回は珍しく「やんこらせ」という踊り。途中で激しくなる質調衣ちょい等と違い、
わりと大人しい感じだ。メンバーも「ちょっと踊り足りんな」と、汗は少なめ。


和泉へ戻ると、ヘクサンボなんて珍しい生き物が。


夜は、より処スタッフのお母さん方が食事会を開いてくださった。ありがたいね。
皆さんのつくる漬け物からして、もう旨い。ほっとする味だ。
ばくばくと頬張りながら、楽しく笑い合い語らいながら、近日中の再会を約束する。


道の駅九頭竜では、九頭竜マルシェが行われていた。
雨だが、日曜の朝から野菜を求めるお客さんの列ができている。


この日も車を走らせ、大野市の街なかへ。


中部縦貫道という高速道路が目下建設中で、来るたびに景色が変わっていく。


天空の城が功を奏しているのか、観光客も少なくない。


商店街では、小京都まつりという催しが。
越前大野城の城下町である大野市は、小京都といえるわけだ。

個人的には、この小京都という表現は好きじゃないけどね。
京都とは違う魅力があるんだし、そんな下位互換みたいにしなくて良いんじゃないのと。
まあ対外的・観光客向けには、分かりやすいのだろうけども。


越前といえば、おろしそば。手打ちのをいただく。旨い。


街の方と合流し、コーヒーなど飲みながら、しばしお喋りを。


まつり会場を歩いていたら、知っている方々に何人もあった。
「久しぶりやのー」「元気そうで」「(ブログを)更新しとらんで心配しとったよ」
などなど、皆さん気にかけてくれる。嬉しいことだ。

都会では知らない人の波に飲み込まれてしまうが、
和泉地区や大野市内なら馴染みの顔をすぐ見つけられるという、安心感があるね。
そして他愛もない会話をして、冗談を言って笑い合ったりして。

これこそが、田舎と呼ばれる地域の大きな魅力である、と僕は思っている。


和泉の方へ戻ると、お母さん方が数名、僕の見送りにと集まってくれていた。
野菜の差し入れをいただく。保存のきく根菜は、特にありがたいね。

わいわいとお喋りをして盛り上がり、
他にもお寿司やお菓子やおフルーツなど持たせてもらい、ではまたと言ってお別れする。


こちらは書の先生が、穴馬和紙に書いてくださったようだ。ありがたい、家に飾ろう。
まだそれほど大きい場面は経験してないかな。これからの人生で、直面していくわけか。



9月10月・今回の11月と、月イチで和泉に帰省している。
ブログの更新も、それに合わせる形になりつつあるな。

良さげな部分だけ綴っているけど、最近も相変わらず、
何やっても上手く噛み合わない感じで、イライラする日々であった。
神信心も仏信心も薄い人間だが、そろそろお祓いを受けた方が良いようなレベル。

だがそれも、和泉・大野の人々とふれ合うことで、またも大きく癒された。
今年ももう一回くらい、12月に帰ってこようかな。
ふるさとに。


2018年10月17日水曜日

【9月18日(火)-10月14日(日)】 Happy 半被 知ってるかい? [猟師137-163日目]

毎日更新していたブログも、和泉を離れてからは週イチになり、今や月イチになっている。
平日はずっと出張だし、休日も何かとやることがあって、なかなか余裕が持てない感じだ。

この一ヶ月間を、ハイライトでお届けする。


仕事の方では、新しい銃を持って現場へ入るようになった。
会社で新規に購入したものを、借り受けている。
日本の法律では、一丁の銃に対して一人の人間が紐付いていないといけないので、
名義上では僕のものになっているが。退職時に、会社の人へ譲り渡すわけである。

散弾銃の扱いだけど、ハーフライフルという種類。
つまり弾に少し回転が加わることで、飛距離や精度や威力が少し増している。


スコープも搭載したので、射撃場での調整というのをしなければならない。
1/4MOAというのは、100ヤード(約91.44m)先の標的の場合、
目盛り一つで1/4インチ(約6.35mm)、着弾点が移動するということだ。
厳密には違うのだが、ざっくり、その認識で調整できる。


銃をしっかり固定し、50mの距離でド真ん中を狙い、5発。何度か繰り返した結果、こんな感じに。
銃と弾の相性が大事なようだが、2.5㎝に収まるというのは、かなり良い精度らしい。
これでシカを仕留め損ねたら、完全に射手の技術不足ということだ。言い訳できねえ。

ちなみに、「散弾銃なのにスコープ付けるの?笑」
などとシロウトに言われることもあるが、これは必要である。
双眼鏡で覗いてから銃を構えるという手間を無くすためだったり、
中途半端に当てて半矢(怪我させた状態で逃がしてしまう)を避けるためだったり、
矢先の確認(確実に獣だと視認する)のためだったり。
狩猟界では、人に対する誤射が絶えないからね。安全のためというのが一番大きいかも。

クレー射撃で使うような散弾だったら、もちろんスコープなど邪魔なだけである。
大物猟をする際には一発弾を使用するから、そこが違うと。


初夏も無く一気に夏が来たと思っていたら、晩夏も無く一気に秋となった山。
朝晩など、もはや冬だ。凛冽たる寒気に凍えているといっても過言ではない。
かと思えば日中は気温が上がり、山を歩けば暑くなり汗をかいたりして。

そんなんしてたら、また体調を崩してしまった。
風邪っぽくダルい症状ののち、腸の調子が悪くなって下痢のような状態が続き。
三連休のうち二日間ほど寝込むやら、地味な痛みに苦しむやら。
体調管理が難しいな。


だいたい快復したところで、土日をつかって和泉地区へ遊びに行く。
先月の敬老会以来、わずか一ヶ月ぶりだ。

夜中に車で出発し、朝に着いたら、


毎年開催されている、フォーラム青葉の笛。
青葉の笛保存顕彰会の一員として、準備・運営・片付けをする。


季節の花々を用い、より処スタッフでもあるお母さんが素敵に活けてくださる。毎年恒例だ。


篠笛愛好家の方々が近隣県から集い、演奏発表をしていく。
僕は全く練習できていなかったので、吹くのは遠慮しておいた。


お昼ごはんも振る舞われる。
和泉のお母さん方と和泉の料理屋さん方による、ごちそう。
お腹いっぱいいただいた。最高である。


夜には、集まりに呼んでいただいた。
皆さんとわいわい、肉やビールで盛り上がる。お腹ぽんぽんである。


日曜は朝はやくから、地区の神社へ。
こちらも毎年開催されている、まつりである。氏子若衆の一員として参加だ。
飾りつけをし、神輿や各種道具を用意し、


厳かに神事が執り行われる。今年は、中学生の女の子が巫女さんをしてくれていた。
その美しさ・神々しさに、みんな溜め息。


お守りも配られ、ハッピを羽織ったら半被ーな気分。


神輿巡業がスタート。わっしょいわっしょい。

中部縦貫自動車道という高速道路が絶賛建設中のため、あちこちで工事中だ。
大型車などに気を付けながら進行する。


随所で休憩。天候が良く、じんわり汗をかいてくるくらい。


三時間ほどかけて地区内を周ったら、神社で子ども向け屋台タイム。
毎年恒例、射的とお菓子すくいが行われる。


そして打ち上げ。拝殿内に所狭しと集まり、わいわいと。
夕方に解散となり、僕は翌日から仕事のため、東京への帰路につく。
楽しい二日間であった。



ここ数ヶ月、何やっても上手くいかねえなあと落ち込み、ネガティブになっていた。
しかし和泉へ遊びに帰ったことで、少し元気を取り戻せた気がする。
よく見知った人たちと、ふれ合って笑い合って。癒されたわけだ。
ハッピーになれる場所。我がふるさと、和泉。

そして来月早々にも、大野市文化祭に合わせ、またも帰省する予定。
穴馬(あなま)民踊保存会の一員として、穴馬おどりのステージ出演である。

楽しみだ。寝込まないようにしねえとな。